『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)で連載している〈4つの視点から考える 幸せのためのヒント〉。
7月号では、役者やナレーターとして二人三脚で活動する夫婦、全盲の美月めぐみさん&夫の鈴木橙輔さんと時間をともにして、気づかされたことや教えていただいたことを紹介しています。
視覚情報を言語化して伝える夫の橙輔さんと、耳から入ってくる言葉のニュアンスを大切にする、想像力が豊かな妻のめぐみさん。
2年ほど前、カフェでお茶をしながら二人と話していたとき、ケーキが盛り付けられたお皿を前にしためぐみさんに、橙輔さんが「いちごとクリームが6時」と声を掛けていました。
「いちごとクリームが手前側にあるよ」を意味します(クロックポジションの手法)。
二人にとって当たり前の、このやりとりをとても新鮮に感じ、日頃どのようなコミュニケーションをしているのかずっと気になっていました。
そこで今回、お時間をいただいたという流れです。
二人の間には、「見ればわかるよね?」みたいな、目が見える人同士のコミュニケーションにある“暗黙の了解”はありません。
たとえば、冷蔵庫に入っているものについて。
料理担当の橙輔さんが、
「冷蔵庫の真ん中の段の左側に煮物が入っていて、これには大根が入っていないのであなたも食べられると思います、お昼によろしかったらどうぞ」
といったメッセージを残すとか。
めぐみさんも、言葉選びが丁寧で表現や説明が具体的。“誤解のないように、きちんと伝えたい” という想いがあるからです。
結果、二人のコミュニケーションは増え、 “風通しがよくなる”というか、なんでも口に出しやすい雰囲気になるのではないかと。
それに加えて、仕事でもプライベートでも“目が見えるから、見えないから” ではなく、“得意か、不得意か”で役割分担をしていることも、いいパートナー関係を築けている理由なのだと思います。
話を伺った場所はカラオケボックスでした。
高校時代にボーカルレッスンを受け、バンド活動をしていためぐみさんと、絶対音感をもつ橙輔さんは、最後に「カナダからの手紙」と「あずさ2号」を熱唱してくれました笑。
伸びやかで声量のある歌声が、とても気持ちよかったです。
めぐみさん&橙輔さん、取材であることを忘れてしまうほど、楽しい時間をありがとうございました。
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