『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)で連載している〈4つの視点から考える 幸せのためのヒント〉。
8月号では、知的障害者や自閉症者のアート作品を専門に展示・販売するJギャラリー&カフェの“ギャラリー当番”こと、竹居美佳さんに伺った話を紹介しています。
このギャラリーにいる時間が美佳さんにどんな変化をもたらしたのか、お客さんたちはどんな存在なのか。
「来てくださるお客さんたちが、私を育ててくれている、自分の居場所をつくってくれていたんだなって。それって本当に、ありがたいことですね」
美佳さんは最近、そう気づいたのだそう。
これまで何度もお邪魔し、ついつい長居してしまうこのギャラリーは、いろんな側面をもっていると思って見ていました。
・企画展の作品を鑑賞できる場所。
・竹居家の家族の生活が溶け込んだ場所。
(自閉症の晄〈こう〉くんの存在は大きい)
・創作活動に力を入れている福祉施設の話を聞ける場所。
(美佳さんが興奮気味に教えてくれます笑)
・お茶を飲みながら、世間話ができる場所。
…etc.
子どもから高齢者まで、世代も立場もさまざまな常連さんたちが、ふらりと、手土産や話題をもって美佳さんのところにやってきます。
美佳さんと話して、心が軽くなった様子でギャラリーを後にした人を見ることもしばしば。
いろんな人の、ほっとする“居場所”にもなっていると思われるこのギャラリー。
ですが実は、美佳さんがいちばん、このギャラリーに救われているのかもしれません。
美佳さんは、こう教えてくれました。
▶︎お客さんがリアクションしてくれることで、キャッチボールできている感じがして、手応えを感じるようになって、ベラベラしゃべるようになって(笑)。そしたら、自分がギャラリーに立つ意味を見いだせてきて。前はいつも「自分はここにていいのだろうか……」と、ずっと思っていたんです。ここだけじゃなくて、どこにいてもなんとなく。生きていることに対しても。
▶︎私もそうですが、子どもの介助でいっぱいいっぱいになるんですよね。介助のストレスやイライラのほうが、かわいいと思う気持ちより大きくなってしまう。晄の場合は、同じことを何回も、何回も言うし(笑)。だから時々、(ギャラリーにお茶しに来た、障害のあるお子さんを育てているママ友と)自分の子どもの好きなところを自慢し合ったりするんですよ。“いい部分”を話していると“、いい部分”が増殖してくる。それは夫婦でも友だち同士でも会社の同僚とでも、同じなんじゃないですかね。
自然体でいることの大切さを教えてくれる、美佳さん、夫の正武さん、晄くんに感謝。
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