『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)で連載している「4つの視点から考える 幸せのためのヒント」。
7月号では、“分子栄養学” とも言われる「オーソモレキュラー栄養医学」に基づいてカウンセリングを行う、
吉川 圭美(たまみ)さんが大切にしていることを紹介しています。
「栄養の話をする前に、その人との信頼関係を築くことが大事」
「お酒に依存してしまう人に“禁酒”を強いるより、お酒に依存してしまう要因を探ることのほうが大事」
「その人が慣れ親しんだ食べ物に秘められた、思い出や想いを尊重する」
など、相手を尊重する姿勢がとくに興味深かったです。
オーソモレキュラーとは、ギリシャ語で「正しい」を意味するオーソ(Ortho)と「分子」を意味するモレキュラー(Molecular)を組み合わせた単語。
オーソモレキュラー栄養医学は、「分子レベルで最適な量の栄養素を投与し、身体を構成する約37兆個の細胞の働きを向上させ、病気の治療と予防をする医学的治療」なのだそう。
ライター・編集者でもある吉川さん。
これまでマクロビオティック、生姜紅茶、断食、温め健康法、酵素栄養学、時間栄養学など、ありとあらゆる健康療法をその第一人者に取材してきました。
そんななかオーソモレキュラー栄養医学に出合って初めて、体内で分子レベルで何が起こっているか想像することに。
そこには、これまでたくさん学んできたはずの栄養学の、まだ見ぬ世界が広がっていたのでした。
吉川さんは、「これは食べないでください、あれは食べないでください」とは言わず、まずは本人の状況や想いに耳を傾けます。
たとえばお酒がやめられない人には、
「アルコールの分解を助けるために、タンパク質やビタミンB群、亜鉛を意識した食事をすすめる」
など、栄養を足したり引いたりして、その人に適したバランスに“チューニング”。
給食づくりに携わる保育園の子どもたちのために、身体にやさしいスイーツをつくったりもします。
たとえば“クリスマスパフェ”は、
「トッピングのクリームには豆腐を使用し、糖質と一緒にタンパク質を摂取して血糖をコントロール。一番下の層はコーンフレークでグルテンフリーに。いちごのビタミンCで免疫力をアップ」
といったように、工夫を凝らして。
印象に残った話は、
▶︎食べることって、生きるための材料を体に入れることだけでなく、その人が生きてきた歴史というか身を置いていた文化というか、そういうものも大きくかかわっていますよね。だから私は、たとえ相手にとってデメリットな食べ物だったとしても、すべてに対して『やめてください』ということに違和感を覚えてしまって。
▶︎好奇心が大事で。好奇心は、食べ物を見直して栄養を整えていくことでもつくれると思います。
▶︎メンタルが不調な人に『元気を出していきましょう!』と気力に働きかけるより、体に栄養を入れていくほうが効果的なことが結構、ありますよ。ベースの食べ物を整えていくと、自然に気分も上がっていくんです。
実は、吉川さんは私の元同僚で、“たまちゃん”と呼んでいる友人。
出会って20年くらいになりますが今回、新たな側面が見えたりして、「親しい人でも改めて話を聞くと、発見があるものなんだなー」と実感しました。
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