『月刊ケアマネジメント』で連載している〈幸せのためのヒント〉。
7月号では、女性の労働問題に半世紀かかわってきた、「一般社団法人はたらく女性の全国センター(ACW2)」代表理事、伊藤みどりさんに伺ったお話を紹介しています。
そもそもの始まりは50年ほど前、伊藤さんが20代の頃のこと。
勤めていた会社の上司に「生理休暇をください」とお願いしたことが、会社側との対立へと発展。労働組合の婦人部に見込まれ、その一員として活動するようになったのが社会活動家としてのスタート。
その後、1995年に「女性ユニオン東京」を、2007年に「はたらく女性の全国センター(ACW2)」を結成。
女性労働問題研究家の塩沢美代子氏の訓えと、パウロ・フレイレの著書『被抑圧者の教育学』で得た学びを指針に、デモや集会を主体とするのではなく、生きづらさを感じている女性たちが“弱者である”というマインドから抜け出すための「参加型の教育活動」に力を入れてきました。
実は、伊藤さんには10年前に取材したことがありました。
それ以後、またお会いしたいとずっと思っていてご連絡したという経緯なのですが、伊藤さんは相変わらずとってもフランクで、10年ぶり、しかも会うのが2回目とは思えないほど親しみを感じました。
当時と今日とでは、性差別に対する世の中の意識は大きく変わっています。
「ほら、いま“ダイバーシティ”って言われている時代でしょ。だから『女性団体って、必要あるの?』という声もありますよね。でも、私の問題意識からすれば、日本ではまだ必要かなと。国会議員の半数が女性になったら、名前に『女性』とつく団体はいらなくなるんじゃないかな。そのときは解散ですね。そんな日を目指して活動しているっていうことでもあるんだけど」
と、伊藤さん。
ご自身も変化していました。
“おばあちゃんと孫” ほど歳が離れたZ世代の会員たちと親交を深め、ワークショップなどで学びながら思考の更新を続けて。
▶︎「よく、親しくしている友人たちと『一生、勉強だよね』って話しています。それから、学ぶことで自分の癖を知って、自分を変えていくことも大事、相手を変えようとするより。凝り固まったままで『このままでいいや』と思うようになったらもう終わり、この活動から引退しなきゃいけないなって思います」
▶︎「ホットライン(無料の電話相談)から“いま”の問題が見えてくるんです。ここ数年は年間300件ほどの小規模の相談活動になっているけど、ランダムにかかってくるわけだから、そこに“いま”が反映されるんです。18年続けてきて、私はそれを確信していて。理論って、あとから学者がエビデンスをとってまとめますよね。でもまとめた頃には、エビデンスとなる現実がもう変化していたりするでしょ?」
団体の代表としては、世代や立場の異なる会員の女性たちの“分断”に直面して以来、組織内の対話にも努めてきました。
諦めず、粘り強く。
8月号では、伊藤さんに伺った「対話の土壌をかもす」ということについて紹介します。
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