《月刊ケアマネジメント》(環境新聞社)で連載している〈幸せのためのヒント〉。
3月号では、障害のある人がアート活動をするアトリエ「まちこうばGROOVINʼ」の、生活支援員・イシダイラ(石平裕一)さんと、覆面レスラーの作品を制作する自閉症のアーティスト・ケンジさんとの関係を通して見えてきた、プロレスと福祉の共通点などについて紹介しています。
「5秒までは反則OK」というプロレスの“おおらかさ”や、相手と呼吸を合わせながらちょうどよいところを探るコミュニケーションなどについて。
「まちこうばGROOVINʼ」で半日過ごさせていただきながら、イシダイラさんにお話を伺ってきました。
イシダイラさんとケンジさんの付き合いは長く、始まりは2000年。
日中活動でよく絵を書いているケンジさんに、イシダイラさんがある日、覆面レスラーの写真集を見せてみました。そしたら、「どこかとぼけた、味わいのある表情の覆面レスラーの絵」が誕生。そのテイストに「これだ!」と。そこから、今日に至っているそうです。
二人はなんだか、友達のように見えました。
イシダイラさんに、
「二人の関係を何かにたとえるなら?」
と質問すると、ちょっと考えてから、
「ケンジくんが漫画家で、僕はそのアシスタントって感じですかね(笑)」
と教えてくれました。
最初は自分の作品に関心を示さなかったケンジさんは、作品展などで家族や観に来た人にほめられているうちに、自分の作品だとアピールするようになったそうです。
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白黒はっきりしない曖昧さ、おおらかさ。
それが、イシダイラさんがプロレスに感じる魅力だそう。
レフェリー(審判)がいて勝敗を決める競技ではあるものの、白黒はっきりしない(させない)曖昧な部分が謎をよび、観る人たちの間に議論を生むところに奥深さを感じ、「なんでロープに振ったら返ってくるんだ?」「あの技は本当に痛いのか?」といったプロレスに批判的な人たちからのツッコミを、ファンたちが受け入れて楽しんでいるところに“おおらかさ” を感じると言います。
そして福祉の現場にも、そんな“おおらかさ”があってもいいのではないかと。
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「本当に難しいですねぇ〜、この仕事は」
と、イシダイラさんが悩ましげに語る姿がとても印象的でした。
判断に迷うことが多いなかで、自分なりに答えを出して対応していかなければならない仕事。
相手にとっての幸せを考えれば考えるほど、モヤモヤが募るそうです。
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プロレスにまったく興味がなかった自分がこの取材をしようと思ったきっかけは、TOKYO SOCIAL DESGINが企画した、この二つの動画を観たことにあります。
●デスマッチ!時がきた それだけだ。 かうんと5×闘道館 トークイベント
https://www.youtube.com/watch?v=PDYhNYvyoKk
https://www.youtube.com/watch?v=qWn5lFCGAJY
新しい扉を開けてくれた、TOKYO SOCIAL DESGINとイシダイラさん&ケンジさんに感謝。
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