《月刊ケアマネジメント》(環境新聞社)で連載している〈幸せのためのヒント〉。
5月号では、これまで300カ所以上の福祉施設を訪れ、福祉施設と地域の地場産業や企業、行政などをつないできた、羽塚順子さんに伺ったお話を紹介しています。
Welfare trip(ウェルフェア トリップ)とは、“福祉の場をめぐる小さな旅”のこと。
障害のある人、ひきこもって社会との接点がなくなった人、家族と暮らせない人などが通ったり生活したりする福祉施設を“旅するような”目線で訪れている、羽塚さんオリジナルの言葉です。
そうした“福祉の場”にいる人たちの日常の風景や、一緒に体験したことを書き綴った著書『Welfare trip ~福祉の場をめぐる小さな旅』(アノニマ・スタジオ)の、「前書き」に滲み出た羽塚さんの人柄に惹かれ、とてもお会いしたくなり取材を依頼しました。
「行きたくなるから、行くのが好きだから」
というのが、羽塚さんが“福祉の場”に足を運ぶ理由です。
そして、その場所やそこにいる人たちが、自分の身体を使ってものづくりをする喜びを教えてくれ、多忙な日々の中で見失っていた、人間らしさを取り戻させてくれるから。
それ、ものすごくよくわかるなと思いました。
私もこれまで、いくつかの福祉施設(利用者さんのことを第一に考えているところ)で過ごさせていただいたことがあるのですが、毎回、“栄養を吸収しているような”感覚というか、元気をもらえるというか、たくさんのものを持ち帰ってくるのです。
「いろいろあっていいよね」「それでもいいんじゃないの」と思わせてくれる包容力、明るさや笑いがあり、無理のない生き方を教えてくれる場所です。
これは、今回の取材とは別な機会に伺い、改めて、羽塚さんが目指すことの深さを感じさせられたことなのですが、多岐にわたる羽塚さんの活動はすべて、「母性社会づくり」の一環だということ。
注目していただきたいのは、羽塚さんが考える“母性”の意味です。
それは、
「女性だけではなく本来、誰もがもっている、命あるものへの慈しみ」
「小さいものや弱いものに対して手を差し伸べてしまう、人間が本能としてもっている思いやり」
その“母性”が発露されるきっかけが“福祉の場”にあると、羽塚さんは考えています。
母性の総量が多ければ多いほど、世の中は良くなる。
だからたくさんの人に、“福祉の場”との接点をもってほしいのだそう。
リュックサックにたくさんの資料や本を詰めて持ってきてくださり、記事には収めきれないほどの情報を共有してくださった羽塚さんに感謝。
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