【幸せのためのヒントFile 17:心のバリアフリーについて考える② ~四肢麻痺の車いすユーザー、薫さんのデンマーク留学から〜】

《月刊ケアマネジメント》(環境新聞社)で連載している〈幸せのためのヒント〉。

9月号は前号の続編として、四肢麻痺の車いすユーザー、戸石薫さんに伺った話を紹介しています。

障害者と健常者を分けない統合教育を行う寄宿制の学校、Egmont Højskolen(エグモント・ホイスコーレ)で学んできたことや、帰国後に気づいた自身の変化などについて。

「体験したい」という気持ちを大切にすること。

「体験したい」という気持ちを受け入れる土壌があるということ。

デンマーク留学をした人たちから、こうした話をよく聞きます。


薫さんも約半年間の留学生活で、“障害があることを理由に諦めていたこと”に、たくさん挑戦してきたそうです。

スカイダイビング、ウォールクライミング、スキューバーダイビング、ジップライン... etc.

薫さんの話はどれも、私が想像したこともないハッとさせられるものばかりでしたが、特に印象深いのは、

▶︎(帰国後に気づいた内面の変化について)

僕はもともと、とてもアクティブな健常者だったんですが、大学3年のときに障害者になってから、心は健常者のままでも、周囲からは障害者として見られるということに葛藤していました。「どっちが本当の自分なんだろう?」と。でもそれが、障害者でも健常者でもなくて、「僕なんだ」と思えるようになって。「戸石薫」という枠に、ピッタリ収まったという感じですかね。


▶︎(5日間のトレッキングを経験して)

みんな、自分のにおいや見た目を気にしなくなっていくんです。僕は、大勢のなかにいても、自分の部屋に一人でいるような気楽さを感じるようになっていました。社会生活のなかでは、「あの人、服が汚れていて汚らしい」とか「髭や髪がボサボサで不潔そう」と思われたくないから、身なりを整えると思うんですが、そうした感覚がなくなって。裏表のない状態で、それぞれが向き合えたと思うんです。自然体でいるって、こんなに生きやすいことなんだと実感しましました。

胸の内を、丁寧に言葉にして教えてくれた薫さんに感謝。

世界一周の旅の実現に、突き進んでいただきたいです!

写真提供:戸石薫さん